不整脈とは
心臓はポンプの機能を持ち、全身に血液を送っています。この機能に問題が生じて起こって脈が不規則になってしまうのが不整脈です。血液がうまく全身に伝わらない場合にはペースメーカーで補う場合もあります。
不整脈にはさまざまな種類がありますが、特に注意したいのは加齢とともにリスクの上がる心房細動です。心臓の左心房が小刻みに震える不整脈で、心房の中に血栓ができやすい傾向があるため、脳梗塞リスクが上昇します。そのため、心房細動では脳梗塞予防が特に大切です。ただし、不整脈には心室性期外収縮や上室性期外収縮など、あまり心配する必要がないものもあります。心臓病があるとこうした心配のない不整脈でも問題が生じるケースがありますので、原因や状態、心臓の収縮能などを見極めた上で正しい診断を行い、適切な治療を受けることが重要です。
不整脈の種類
頻脈
頻脈は心拍数が増えて脈が早まることです。1分間に100回以上の拍動がある状態を一般的に頻脈と呼びます。早くてもリズムに乱れがなければ緊急な処置は必要ない場合もありますが、頻脈で心拍数があまりにも多くなってしまうと心臓からの血液が全身に行きわたらなくなって、吐き気や冷や汗、意識消失といった症状が現れます。高度な精密検査が必要な場合は、適切な循環器内科へご紹介します。
徐脈
心拍数が少なくなってしまうことで、一般的には1分間に60回以下の心拍数の場合、徐脈と呼ばれます。脳への十分な血流が確保できなくなり。めまいやふらつき、意識消失などを起こすことがあります。徐脈はご自分で気付かれないケースもかなりあり、息切れなどをきかけに受診し、徐脈が見つかることもあります。脈拍を増やす薬物療法や人工ペースメーカー挿入などの治療を検討します(適切な循環器内科へご紹介します)。
期外収縮(抜ける脈)
脈が不規則になることで、不整脈では最も多い症状です。30歳を過ぎるとほとんどの方に起こるとされており、胸の不快感や違和感、痛みで気付くこともありますが、自覚症状が全くないことも珍しくありません。痛みや不快感は胸周辺の狭い範囲で起こり、数十秒程度でなくなります。
ほとんどの場合は心配ありませんが、心筋梗塞や心筋症などが原因になって期外収縮を起こしている場合には治療が必要です。そのため、脈が飛ぶようなことがあったら専門医の受診をお勧めします。当院でご相談いただき、高度な精密検査が必要と判断した場合は、適切な循環器内科へ速やかにご紹介します。
不整脈の検査
心電図
心臓が拍動する際に発生する微細な電気を検出してグラフとして記録する検査です。不整脈がある場合だけでなく、自覚症状がない場合も年に1回は心電図検査を受けておくと安心です。当院で検査可能です。
長時間連続記録心電図検査(ホルター24時間心電図検査)
通常の心電図は診察室など院内で計測しますが、この検査では小型の記録装置を装着して24時間の心電図を記録します。日常生活の中で起こる心電図の変化を捉えることができるため、正確な診断に大きく役立ちます。当院で検査可能です。
運動負荷心電図検査
階段昇降前後の心電図変化を観察するなどにより、安静時と負荷のかかった状態の心電図を比べて評価します。不整脈や、狭心症などの虚血性心疾患の診断に役立ちます。高度な精密検査となりますので、検査のできる循環器内科へ速やかにご紹介します。
不整脈の治療
不整脈には、「治療の必要がない」「治療の必要がある」「治せない」ものがあります。最も多いのは「治療の必要がない」不整脈ですが、専門医を受診して正しい診断を受けなければ不整脈のタイプはわかりません。治療が必要な不整脈である可能性もありますので、脈のスピードの異常や脈が不規則になるなどに気付いたら必ず受診するようにしてください。特に脳梗塞のリスクが高くなるケースではその予防をできるだけ早くから行うことが重要です。